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資産除去債務について

まず、この会計基準の目的は、主に賃借している不動産の撤退コスト(原状回復、処理費用等)を会計上に反映することです。
企業が行っている事業によっては、撤退コストが巨額になるケースがありますが、将来のキャッシュアウトが大きくなるため、 活動を大きく制限させることになってしまいます。

資産除去債務とは、具体的には、原子力発電施設、定期借地権の原状返還義務、賃借建物に係る造作の撤去義務(原状回復義務)、 有害物質(PCB、アスベスト)の除去義務、産業廃棄物処理場の後処理義務等によって発生するコストです。件数的に最も多いのは、 賃借物件に係る原状回復費用と思われます。
これらの義務が将来的に発生する場合には、発生する費用を算定し、事前に計上することが必要となります。

[資産除去債務会計基準」を「減損会計基準」と比較すると、現在の不動産価値の下落は「減損会計基準」の対象となりますが、 「資産除去債務会計基準」は、将来発生するコストを対象とするという違いがあります。また、「賃貸等不動産会計基準」と比較すると、 賃貸等不動産は、主に貸している不動産に関する開示でしたが、資産除去債務会計基準は主に借りている不動産に関する開示という違いがあります。

資産除去債務に関する会計処理の特徴は、以下の通りです。

@将来発生するコストを債務として計上

資産除去債務を認識した際に、固定資産除去に要するキャッシュフローを見積り、割引現在価値を算定します。なお、見積り自体が困難な場合は、 見積り可能となった時点で算定します。

A両建て処理

資産除去債務を負債として計上すると共に、同額を関連する固定資産の帳簿価額に加算します。負債と資産を両方増やしますので、減損会計のように、 一時点でP/L計上されません。

B費用分配

Aで増加させた資産の金額が、減価償却費を通じて、固定資産の残存耐用年数等にわたり、各期に費用分配されます。 従って、資産除去債務の計上額は多額になる場合でも、耐用年数が長い場合、毎年のP/L計上額は少額になる可能性があります。

資産除去債務は、原状回復費用を見積もるという、今までの会計基準にない独特な考え方をしますので、 個人的には最も対応が大変な会計基準だと思います。不動産の評価であれば、不動産鑑定士に鑑定評価を依頼すれば対応できますが、 資産除去債務は、ゼネコン・工事業者に依頼して撤去コストを見積もる必要がありますので、従来からの会計を専門分野としている 財務経理セクションの人材だけでは対応できないからです。